図書館が牽引するオープンアクセスの進化

シュプリンガーネイチャーのオープンアクセス(OA)契約は、単なるフルテキストの閲覧やOA出版の提供にとどまりません。私たちは、あらゆる規模の機関およびその研究者と連携し、研究の可視性と利用率を高めることで、研究成果のインパクトを最大化することを目指しています。

図書館の皆様とのパートナーシップを通じて、シュプリンガーネイチャーは各機関のOA移行を積極的に支援しています。OAへの移行の速度やアプローチは機関ごとに異なりますが、以下に当社が提供する主なサポート内容の一部を紹介します。

オープンアクセス契約とは

シュプリンガーネイチャーのOA契約は、図書館と研究者の双方にとって、研究成果の可視性とその影響力を高めるための包括的なサービスです。高品質な研究へのアクセスを広げるとともに、OA出版を通じて学術情報の流通を加速させる役割を担います。

OA契約は、学術界全体のOA移行を推進する上で重要な仕組みです。各調査によれば、ゴールドOAで公開された論文は、非OA論文と比較してダウンロード数が約6倍、引用数が約1.6倍、Altmetricにおける注目度が約4.9倍と、大きな成果を収めています。また、シュプリンガーネイチャーの転換契約に参加している機関の著者は、Springerのハイブリッドジャーナルにおいて、参加していない機関の著者と比べて約3倍多くゴールドOA論文数を出版しています。

シュプリンガーネイチャーでは、ハイブリッドジャーナルおよびフルOAジャーナル*を対象とした多様なOA契約を提供しており、いずれも参加機関が著者のOA出版費用を支援できる仕組みとなっています。

*注:2025年5月現在、日本における転換契約にはフルOAジャーナルは含まれていません。

OA契約の種類:

転換契約

  • 転換契約とは、参加機関がハイブリッドジャーナルの購読に加え、OA出版にかかる費用 (APC) も含む包括的なライセンス契約です。
  1. Springer 転換契約:2,000誌以上のハイブリッドジャーナルにおけるOA出版と、ハイブリッドおよび購読ジャーナルへのアクセスを提供します。
  2. Nature 転換契約:Nature Portfolioに含まれるハイブリッドジャーナルでのOA出版と、それらジャーナルへのアクセスを提供します。(注:2025年5月現在、日本における転換契約には、Nature Portfolio のジャーナルは含まれていません)

フルOA契約 

  • BMC、Springer、Palgrave Macmillan、およびNature Researchのポートフォリオ全体にわたる完全OAジャーナルのための出版専用契約です。
  • フルOA契約の詳細:各契約の概要、対象ジャーナルや参加機関の情報を紹介しています。
  • メンバーシッププログラム:現在、500を超える機関がシュプリンガーネイチャーのメンバーシッププログラムに参加しています。このプログラムを通じて、著者はBMCおよびSpringerのフルOAジャーナルの論文処理費用(APC)を割引価格で利用できます。

OAブック契約

  • 資金提供機関(例:学会)、コンソーシアム、または機関がスポンサーとなり、OA書籍出版費用(BPC)をカバーする出版契約です。
  • OAブック契約の詳細

これらのOA契約は、世界中の3,500を超える機関に所属する研究者を支援しており、特に資金が限られがちな人文社会科学分野において、学術界全体でのOA出版の公平性を高めるうえで重要な役割を果たしています。


また、場合によっては、著者が資金提供者の要件(例:特定の出版ライセンスの使用など)を満たすために、事前に資金提供者と相談する必要があるかこともあります。詳しくはサポートページをご確認ください。

オープンアクセス契約の利点

図書館がOA契約を通じて支援できること:

  • OA出版の支払い手続きを集中管理し、業務を簡素化する
  • 自動化された、効率的かつ信頼性の高い著者識別システム(承認プロセス)とレポート機能により、最高水準のOAワークフローを実現する
  • 著者にとって、より合理的で利便性の高いOA出版プロセスを提供する
  • 研究成果の可視性、波及効果、インパクトを最大化し、機関全体の評価向上につなげる
  • すべての著者が、研究成果を公開時に即座にOAとすることを要求する資金提供者の要件(例: Plan Sに準拠した助成金)を満たせるよう支援する

ケーススタディ:OA契約の実践とインパクト

日本のパイロット転換契約

2023年1月に始まった、日本におけるパイロット転換契約を取り上げ、その初年度での成果について紹介します。2023年のJapan Open Science Summit (JOSS)においてシュプリンガーネイチャーが発表した内容をベースとし、一部データを更新のうえ、さらに新たな情報を追加しています。また、当転換契約のもとで論文をOA出版された著者の方々にもインタビューを行い、その一問一答を掲載しました。

オープンアクセスの拡大推進:3つの転換契約の事例

本ケーススタディは、転換契約がどのようにしてオープンアクセス(OA)への大規模な移行を促進しているかを探ります。アメリカ、南アフリカ、スロベニアの3つの具体的な転換契約を詳しく分析し、これらの契約が機関、研究者、そして広範な学術コミュニティーにどのような支援と利益をもたらしているかを示しています。

3つの米国の組織がOAの移行を振り返る

このケーススタディでは、3つの米国の組織がシュプリンガーネイチャーとのOA契約について振り返り、これがどのようにして彼らのOAへの移行を助けたか、契約が彼らの業務に与えた影響、そしてこれからOAを進めようとしている人々に対するアドバイスを提供しています。

新しい道を切り開く:シュプリンガーネイチャーとJiscの転換契約

このケーススタディは、シュプリンガーネイチャーとJiscの転換契約が英国で6年間にわたって与えた影響とその範囲について、概要を提供します。2021年末までの英国の転換契約の発展を示し、機関、著者、そして資金提供者に対する利益について議論し、転換契約がどのようにして持続可能なオープンリサーチの未来への移行を可能にするかを説明しています。 

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